2015年4月6日月曜日

大阪駅~吹田駅に残っている遺構を探してみました。

「ヨネカン」のToday event



大阪駅~吹田駅に残っている遺構を探してみました。

とは言っても、実際はそのほとんどが阪急電鉄千里山線の一部となっているのですが、とりあえず新淀川附近で散策をしましたが、これと言った遺構は見つからず、また廃線跡の正式な場所も判らない(家に帰って調べたところ、現大阪駅~新淀川北岸附近までは現状通りで新淀川北岸より北東へカーブし現阪急電鉄京都線になり、淡路を越えて下新庄~吹田になるらしい)ので北上を開始しました。
 第一に見つけた遺構は阪急電車千里山線下新庄駅上り線大阪寄りのホーム下に残るレンガ作りの「まんぽ」です。

 
 この「まんぽ」は茨木駅~長岡京駅間では見られなかった特徴がありました、写真にもコメントを書き込みましたが、アーチ部の迫持(せりもち・アーチの開口に合わせてレンガを2段、3段、4段とカーブに合わせて積み上げている部分)の仕上げが変わっているのです。

 どう変わっているかと言いますと、
1)赤いレンガと黒っぽいレンガを交互に並べて作っている。

2)レンガの断面が異形になっている。

通常は 1)につきましては赤色の風通焼きのレンガだけで組んであるのですが、この「まんぽ」はレンガを焼くときに小口面だけを強めに焼く{焼過}と言うレンガと通常のレンガを組み合わせて、模様を作っていく工法が取られています、この工法はポリクロミーと言われる装飾的技法で日本ではあまり使われていない技法だそうで、海外では多く見られるようです。

2)の異形レンガにつきましては、元来、特注で造られるレンガで設計の時点から、この形に作ると言う方針でレンガ工場に発注して作ってもらった物だと考えられます、ここで使われている異形レンガは楔形(くさびがた)と言われる異形レンガで小口面の右側と左側で長さが少し違うレンガを総称してこう呼ぶようです。

 第二に発見したのは下新庄駅と神崎川橋梁の間にある橋梁で橋脚がレンガで作られています。
 第三に発見したのは神崎川橋梁の橋脚です。 写真で見てもらっても判るようにこの橋梁の橋脚は色々な形の橋脚が混在しています、どの橋脚が東海道本線時代の橋脚で、どの橋脚が新京阪時代の橋脚なのかは判りませんが、手前から5番目の橋脚はほぼ全てがレンガ作りで、手前から4番目と7番目は同じ形で円形ウェルの基礎を二つ並べた上にレンガ作りの矩形橋脚を乗せた形になっています、ただ、手前から2番目、3、6、8、9番目の橋脚は5番目のレンガ作りの橋脚をコンクリートで巻いて補強したようにも見えます。

 同じ橋梁を上流側の方から撮影してみました、こちら側が上流だと言うことがはっきり判るのは、橋脚のこちら面は平面ではなく、尖頭型になっている事です、この尖頭型になっている理由は川の流れの流水圧を軽減するように考えられていると思われます。
よく見てみると4番目の橋脚の円形ウェル基礎は上流側が石積みで、下流側がレンガ作りの上に石が積み上げられているようですが、下流側のレンガ積みの上の石積みが少し中心がずれて積まれているのが判ります、デザインでこうなっているのか?長年の川の流れの影響でこうなったのか?


 同じデザインの7番目の橋脚は上流側も下流側もレンガ積みの上に石積みになっていますが、こちらも下流側の石積みが中心が少しずれているようです。
第四に発見したのは神崎川橋梁を吹田寄りに数百m行った所に水路があり、この水路が「まんぽ」のアーチ橋になっていました。 小さな「まんぽ」ですが、この「まんぽ」にも今まで見た「まんぽ」には無い特徴がありました。

 その特徴とはアーチ部の迫持に有りました、写真で解説していますが、今まで見てきた迫持は全てレンガの小口面でデザインされていたのですが、この「まんぽ」は部分的の長手のレンガを加えて装飾されています。 この技法を竪積迫持と言い、小口だけで構成されているレンガ一部を竪方向に積んで円周方向の繋ぎをとった補強方法で、竪積みのパターンは数種類ある中、ここでは長手のレンガを1段ずつずらした「川」の字に挟んでいるパターンと「川」の字パターンを一枚ずつ間隔を置いて挟んだパターン、中心の一枚と少し間を空けた部分に均等に入れてあるなど、補強とデザインを意識した「まんぽ」だと思われます。
 旧線や廃線跡を散策していると、鉄道構造物の奥の深さがひしひしと伝わってきます、これからも鉄道構造物に注意をして散策したいと思います。
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